右翼も左翼もない。鳩山首相が、「友愛」をテーマに外交を推進するのであれば・・・いまこそ、「大和魂」の時代である。
「大和魂」
とは、神風特攻隊のような日本男児の勇ましさを意味するのではない。本来は、外来の学問・知識を日本に採り入れる際に必要な判断力・能力を表した言葉である。菅原道真は、これを「和魂漢才」 と表現。中国などから流入してくる知識や学問をそのまま日本へ移植するのではなく、うまく融合させて、応用的に政治や生活の場面で活用することを大事とした。
文字通り「大きな和」の精神。そもそもが、日本文化には、「コラボレーション=融合=和」を得意とする精神的土壌があったのだ。
日本人がコラボが上手いのには、理由がある。それは、他国や違う分野から入ってくるモノやコトを、左脳的な論理で把握するのではなく、感情的な情緒や人情によって把握し、共感することに長けていたからである。
戦後、世界の状況の変化や諸外国からの圧力に対して、日本は工業国として、実にうまく適応し、立ち回った。しかし、バブルがはじける前の1980年前半、「ジャパン・アズ・ナバーワン」と世界各国に賞賛されたころから、雲行きが怪しくなった。日本の経済の長期低迷は、日本が真似られる偉い側に立場を変えたところから始まっている。
高度成長を支えた
「団塊の世代」
は、ジャパン・アズ・ナバーワンの担い手であった。しかし、経済成長という目的を果たした後には、保守を代表する世代となった。経済合理を楯に論理的判断をするようになった団塊の世代は、本来の「大和魂」の意味を忘れた。大和魂を忘れて守るステイタスなんて、魅力があるか?断じてない。
政権も交代した。いまの時代が、明治維新の頃に例えられるのもわかる気がする。その維新の獅子達を育てた松下村塾の吉田松陰は、
『身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂』と辞世の句を、弟子達に遺している。時代とうまく適応し、どんなものともコラボレーションできる「大和魂」こそ、時代を切り拓き、未だ来ない未来に近づくために必要な魂であると・・・。
日本の成長を支えたのが「団塊の世代」であったなら・・・これからの日本を支えるのは、きっと
「和魂の世代」
である。いま、ジャパンクールと呼ばれる日本のポップカルチャーは、海外文化とのコラボレーションを凄い勢いで始めている。そんな中から、「和魂の世代」は、群れをなして出現してくるのだと期待する。
※上記は、「ステイタスデザイン」巻末コラムに加筆したものです。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。