落合監督は名「雇われ経営者」(前)

2007.10.20

組織・人材

落合監督は名「雇われ経営者」(前)

寺西 隆行
(株)Z会

パリーグは勝者が決まり、セリーグは激戦中のクライマックスシリーズ。 中でも、落合監督の「仕事」に対する姿勢は感心するものがあります。 プロ野球ファンの一人として、プロ野球の発展を願いながら、監督業を組織論で考えてみました。

昨日、プロ野球:セリーグのクライマックスシリーズ、中日ドラゴンズが読売ジャイアンツ(巨人)に先勝しましたね。
物心ついた頃から中日ドラゴンズのファンで、学生時代は「東大昇竜会」という、ドラゴンズ応援サークルに入っていた、熱狂的なドラキチの僕としても、嬉しい限りです。
…はさておき。

僕自身、余り「身内びいき」をする人間ではありません。
もちろんZ会社員ですから、Z会のサービスを薦めることもありますが、「ここがいい、あそこがいい」と、過剰に宣伝するのは性に合わないんです。(ほんとにいいと思うところ、思うときだけ薦めます)
身内を良く見る目を持ちすぎると、“他の方にとって”良いサービスであるかどうか、という視点がどんどん薄くなる、そう思っていますので。

ほとんど「身内」と勝手に思っている中日ドラゴンズにしても、同じです。
星野監督(今ではもう「元“阪神”監督ですかね。笑)は、彼自身が「熱き良き親父さん」であったから成功しただけで、監督業として見た時は「イマイチ」の采配だった、なんて思っている人間ですし(もちろん私の感想にすぎませんし、星野監督自体は大好きですけど)。

そんな僕が最大級に「(監督業執行者として)すばらしい!」と思っているのが、現落合監督なんです。

監督は「雇われ経営者」と同じポジションですよね。
であれば、「その人の性格や特異的な個人の能力」に起因することで組織を一時的に立て直したり、伸ばしたりするよりも(もちろん、それが大事なときもありますけど)、「手法」(監督で言えば「采配」や、チームそのものの基礎体力・風土作りなど)において組織を成長させる人の方が評価されるべきでしょう。

「手法」がよいのであれば、経営者が変わっても「いいとこどり」はできますが、「個人一身上につくもの」であればそれができませんので。
他の人間に社長業を引き継いでも、良いところは残し、悪いところ・時代に合わなくなったところは改善できる「手法」を構築する・できる人が、すばらしい経営者といえるわけです。
落合監督はそれができるんです。

1.組織(チーム)を動かすのは「ニンゲン」であることをよく理解している。

選手と同じように喜怒哀楽を表現する、という言葉で語れるほどチープなものではありません。
このタイプはともすれば、監督としての威厳を失ってしまうか、あるいは星野監督のように感情が先に立つか(最初に中日ドラゴンズの監督になった頃より随分マイルドになりましたが)、どちらかに偏ってしまうんですけど、落合監督はそうではありません。
組織上の「監督」としての地位を弁えながら、「ニンゲン」であり続けられる…そんな感じなのです。

次のページ2.「その世界の常識」に囚われない。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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