ロジカルシンキングスキル全般を「直感でわかる」ようにお伝えしていきます。今回は仮説思考を解説します。
さて、ここまでは「あの時こうしていればもっと違った結果になっていたのに」という後悔と、「こんなことが起きたらいいなあ」という期待から仮説を直感的に捉えることを試みてきました。
これをビジネスに置き換えると「こういうことをすれば自社の収益が上がる」という仮説と、「市場でこんなことが起きたらいいなあ」という仮説になることもわかりました。つまり仮説には2種類あるんですね。「自分の行動とその結果」に関する仮説と、「市場に起こりうること」に対する仮説です。
こんなことが起こるんじゃないかと期待して何かしらやってみる。そうすると結果が出てくる。もっとこうすればよかったのにと後悔する。違うことをすれば違う結果になったかもしれないと思って、また違うことをやってみる。また違った結果が出る。こういう形で期待と後悔はつながっている。つまり、自分の行動に関する仮説と市場で起こることに関する仮説はつながっている。
そして、言葉が指し示す状況がリアルに感じられれば、本で読んだりしたことも、実際に経験したことと同じような形で自分の経験となり、期待できるようになることもわかりました。確かに限られた人生の時間の中で実際に経験できることなんてたかが知れていますからね。
松下幸之助さんや小倉昌男さんの伝記などを夢中になって読んで、過去に起こったこと、家電業界や運輸業界に起こったことをありありと感じられれば、それと似たような期待を自然と抱くことができるようになるかもしれません。
ただ、実際のビジネスで見るのは各種の統計データやインタビュー結果ですし、学問で見るのは先行する類似の研究でしょうから、リアリティが少し感じにくいかもしれません。このあたりをどう越えるか?はもう少し後で取り上げますので、少々お待ちください。
その前にこの自然に生じる「期待」や「後悔」がわかった上で、どのようにそれを意識的にやればいいのか?について少し見ていきましょう。ここで注目するのは「たられば」というやつです。
「たられば」というのは誰でもわかりますよね。『歴史やスポーツに「たられば」はない』と格好よく語る人もいます。「あの時こうだったら、あの時これをしていれば」が俗に言う「たられば」です。
普通、「たられば」はあまりいいイメージの言葉ではないと思います。しかし、ここではむしろ積極的に「たられば」を言いたくなる状況を見てみることで仮説思考のイメージをより鮮明に掴んでいきます。誰でも使うしイメージが湧きやすい言葉ですからね。
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2015.06.18
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。