ロジカルシンキングスキル全般を「直感でわかる」ようにお伝えしていきます。今回は仮説思考を解説します。
心理学専攻の女の子が自閉症の子供に勉強を教えるというボランティアをしています。彼女がしみじみと言っていました。
「ボランティア先の子供が書く絵って、人に表情がないんですよね・・・。」
心理学を普通に勉強している人は、これがなぜかは知っています。でも、大抵の人は知らないことだと思います。
これはなぜだと思いますか?
いわゆる「自閉症」と言われる障害は、知能指数が低いわけではないのに、社会への適応に障害があるのです。
これはなぜでしょう?
知能指数が低いわけではないのに社会への適応に障害があると言われてもピンと来ないかもしれません。いわゆるIQは低くない。知能テストでは健常者と同じレベルの点数が取れるのです。
しかし、社会への適応に障害がある。
その理由は、人の表情を捉えたりするのがあまり上手ではないのです。ここまで使ってきた言葉で言えば、人の期待を感じる力が弱いということです。
その女の子はもう1つ言っていました。
「ボランティア先の子供って、ほとんど表情が変わらないんですよね・・・。」
これはつまり、自分の期待などを表現する力も弱いということです。すごく俗流に言えば、「自分の気持ちを表現することが苦手だし、人の気持ちをうまく読み取ることも苦手」ということになります。
ここまで説明してきたことをベースに言えば、自分の期待を表現するのも苦手だし、人の期待を読み取ることも苦手なわけです。社会への適応に問題が生じるほどにこの力が弱い人もいるということです。
逆に言うと、いわゆる健常者で社会に適応できている人は「自分の期待を表情として表現できて、他人の期待をある程度は読み取ることができる」ということになります。
程度の差こそあれ、普通に空気が読めるから社会生活ができている。空気が読めるならば人の期待がわかる。
言いたいことはもうわかりましたね。
そうです。人の期待がわかれば、もっと仮説が出せるようになるのです。
自分の期待することには限りがあります。いくら経験を積んでも、読書をしても。
でも、周りにはたくさんの人がいます。その人たち一人一人の期待がわかったとしたらどうでしょう?すごくたくさんの期待と後悔がわかるわけです。
そうすると、たくさんの「こんなことが起きたらいいな」がわかる。たくさんの「あの時こうすればよかった」がわかるのです。
でも、人の期待もさして変わらないんじゃないの?と思うかもしれません。ただね、全く同じ期待を持つことは絶対にできません。
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2015.06.18
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。