組織開発を前提とした人材開発でなければ教育投資は無駄になる

2009.05.13

組織・人材

組織開発を前提とした人材開発でなければ教育投資は無駄になる

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

人材開発投資が行われてきたにも拘らず、組織が生み出す課題(モチベーションの低下やメンタルヘルスの課題、帰属意識の低下など)は山積する一方です。私達はこれまでも組織開発の重要性について提言を続けてきました。

■人材開発に組織開発視点を
人材開発投資が行われてきたにも拘らず、組織が生み出す課題(モチベーションの低下やメンタルヘルスの課題、帰属意識の低下など)は山積する一方です。私達はこれまでも組織開発の重要性について提言を続けてきました。しかしながら一部のクライアントにチームビルディングとしての断片的な理解が得られるのみとなっています。
人材開発が個の強化だけを目的にしていたのでは、組織本来のシナジーを意味出すことはできません。また、チームビルディングにせよ単に研修として取り組むだけでは、やはり一過性に終わります。問題はコンテンツの導入ではなく、変革のプロセスを伴ったソリューション視点での導入です。
個人も組織も多様性を持っています。そして、組織はその多様性を活かすことでシナジーを生み出します。しかし、単一の手法や知識の付与では本来の多様性を活かすことは困難です。一人のリーダーでも部下が変わり、立場が変われば要求される能力や対応は異なります。重要なことは今、この環境に置いて学ぶべき事を見極め、現実的な課題解決を実践し、チームが共有できる成果を生み出すことにあります。
ですから、そのためには常に「今」、そして「現実(実務)」に目を向ける必要があるのです。
私達もこれまで知識付与や手法の提供を目的として人材開発を提供してきた経緯があります。しかし、当たり前のことですが、知識も手法も目的ではなく手段です。目的は私達が直面している課題を解決すること。そして、社員の多様な成長を促進し、社会的貢献度の高い組織を創ることにあります。

■真に必要な人材/組織開発投資とは
そのために重要なことは、以下の点をこれまでの施策に注入することです。

?本来の組織の意義を再考し、組織の全員が心から参画できるビジョンを探索、創造すること
?「組織は成長するものである」ことしっかりと理解し、組織成長に全員が協力(リーダーシップ、メンバーシップの醸成)すること
?Do(やり方)偏重を改め、Be(あり方)について内省し自己変革を促進すること

一見、組織成果には関係ないように思われる方も多いのではないかと思います。しかし、その価値観そのものが現在の組織力を衰退させている根底にあることを認識していただきたいのです。
 本質的な組織力の源泉は「信頼関係」と「コミットメント」です。これなしに高い目標を掲げ、指示・命令を主としたリーダーシップを強化し、表面的に制度や仕組みを変えたところで大きな変革や成果は生まれません。これらはこれまでのシステム(ERPなど)や成果主義の導入の結果からも明らかであると思います。
 ですから、成果に拘るのであれば、寧ろ組織の再生を行うことが最も直接的に成果を生み出すことなのです。

次のページ■具体的な施策とは

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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