Beとはまぎれもなく「在り方」を意味しています。これまで私達はDoばかりを追い回してきました。Doとは「やり方」、広義としては勝つための技術であったり、人の評価方法であったり、数値化し比較し競争することを指します。 その尺度に沿っていなければ評価されず、勝ち続けた先に何があるかを問わないままに日々、走り続ける。
組織に目を向ければ、その組織の存在価値や意義、本質的なビジョンを真剣に問わずに何故か帰属意識だけは求められる。
人に目を向ければ、なぜその企業に入社したのか、なぜその仕事をしたいのか、そもそも1年後、5年後、10年後自分はどんな人間になっていたいのか、自分の価値とは何かを問うことも忘れ日常に埋没している。
組織は媒介です。媒介の目的は、人と人が集いそこに存在する多様性によって生まれる、爆発的なシナジーを生み出すためです。多様性が生み出す価値やエネルギーによって私達は本当の自己の個性や価値に遭遇します。
そして、その個性を磨くための研磨剤が仲間であり仕事です。さらに、どんなに辛い研磨作業であっても、やり続けるためにBeの成長が不可欠なのです。このことが本当の人材の成長を生み出す源泉なのですが、そのことを本当に理解しいている方は多くないように感じます。
目下、この社会状況を生み出したものは何でしょうか。評論家の皆様が仰るように要因は様々です。ですが、このまま経済の復興だけが行われたとしてこの先、私達の未来は明るいのでしょうか?
失われた10年以降、一時的な景気の回復の中で、企業組織や社員の幸福感は増したでしょうか。離職率が高く、うつ病が蔓延し、過重労働やパワハラ、セクハラの問題はむしろ増加し続けました。
勿論、経済的な糧を得て生き続けることは最大の重要事項です。しかし、私達はこの世界に存在することで何を具現化したいのか。もし、勇気を持って何かを成し遂げるとしたら「あなたが今、本当に望んでいること」に果敢に挑戦する時ではないかと思うのです。
ですから、もう一度、Beについて問うてください。そして、私達が属するこの社会や組織に私達が何をもたらせるのか。知識やノウハウのため込み作業を少しお休みして、自己の内観をしてみてください。
現実的なお話しをひとつします。私達が組織開発を担当する硬直化した組織は程度の差はあれ、共通的な特徴を持っています。無論、シナジーは生まれず、創造性も失われている。従来であればDoとしてのやり方の改善を中心とした問題解決やスキルトレーニングを行っていたのだと思います。勿論、これらも重要です。しかし、順序が違うのです。
これらの組織に内省、相互支援、自己変革を中心としたチームビルディング的なアプローチを実践することで、これまで止まっていた時間が動き出します。
ほとんど出ることがなかったアイデアが生まれ、「出来ない」「無理だ」といったネガティブな声がどんどん少なくなり「やれる」「出来る」「すごい」といったポジティブな表現がどんどん増える。
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組織ism
2009.05.28
2009.05.13
2009.05.13
2023.10.30
2023.11.07
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。