組織を活性化させるために、人事異動はひとつの有効な手段であることは間違いありません。仕事へのやる気を高めるために、自己申告制度などを設けてなるべくやりたい仕事をやってもらうように心を砕きますが、度が過ぎると弊害も生まれます。そのサジ加減は人事部の腕の見せ所なのです。
【自由度】
仕事を夢中になってやれるようにするためには、ある程度の自由度が必要です。
箸の上げ下げまで指示されて、決まったとおりにしか仕事ができないとしたら、自分が機械になったとしか思えないわけです。
自由度を持たせるためのポイントは3つあります。
「働き方」 「裁量」 「仕事内容」の3つです。
「働き方」は、働く時間や出勤の仕方などのことですが、最近ではフレックスタイム制度も一般的になり、通信回線の整備なども進んで職種によっては、在宅勤務が認められている例もありますね。
正に職種によりますが、自分の抱えている事情によって変えられたり、選べる仕組みがいい影響を与えるように考えていきたいものです。
マングローブでも、自宅からオフィスのサーバーのファイルを見ることができる環境を作り、事情を抱える場合や、完全に個人作業でよくて、自宅でやったほうが効率が上がると思った場合は、在宅勤務ができるようになっています。
「裁量」は、仕事の仕方について自由裁量があるかどうか。任される度合いのことですね。
そして「仕事内容」についてですが、自分で選んだ仕事内容のほうがやる気が出るという考え方ですね。
「自己申告制度」のような形で、社員がやりたい仕事を申告できる仕組みを持っている会社も少なくないと思います。
例えば、第三希望まで希望できるようになっていて、残念ながら第一、第二が認められなくて、第三希望の仕事になってしまったとしても、自分で希望した範疇に入っていることは大きいことなんですよね。
こうした仕組みを導入することに及び腰な場合の理由は「願いを叶えられないとかえって不満になるんじゃないですか」というものです。
そういう恐れはわからないではないのですが、一回で叶えないと社員が不満になってしまうだろうと思う必要はないんですよ。
自己申告(社員の異動希望)は何回か後に叶えるのでちょうどいいんです。
きちんと会社が希望を聞いてくれいてる、把握しているという状態が重要です。
【頻繁な人事異動の弊害】
人事異動の話になったので、話は変わりますが、頻繁な人事異動はあまりし過ぎないほうがいいと思いますね。
前に所属していた企業グループは、ものすごく異動が頻繁でした。
私自身は少ないほうで、まだじっくり取り組ませてもらったほうかもしれません。
「人事異動は職場が活性化する」ということ、そして「ローテーションによって多くの仕事を経験させることで成長を期待する」ということが、頻繁な異動の理屈になっているわけですが、ボクは活性化すればいいってものではないと思いますし、一定以上の期間経験しないと、成長につながる経験にならず、かえって中途半端な社員を量産してしまう危険性も孕んでいます。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。