尊敬というと、自分が他の誰かを尊敬する、しかも下の者が上の者を尊敬することだと思いがちですが、実はもっと多様な奥の深い概念のようです。 今回は、「尊敬」について考えてみます。
以前に、ある勉強会で、ロッテ元監督のボビー・バレンタイン氏の講演を聴く機会がありました。
報酬を取り過ぎだとか、自己中心的だとか、パフォーマンスに過ぎるとか色々言われて、石もて追われるように日本球界から去っていったボビー・バレンタイン氏ですが、講演を聴いて、人間というものをよく分かっている人なんだなあ、と非常にもったいない気がしました。
最も心に残ったのは、「尊敬」という言葉でした。
彼はこう言っていました。
「優れたリーダーには“尊敬”の心が必要である」
「頑張っている仲間を尊敬する。対戦相手を尊敬する。ファンを尊敬する。そして選手一人ひとりが自分自身を尊敬すること。それが強いチームを作るポイントである」
最後の、「自分自身を尊敬すること」というフレーズが新鮮でした。
「人は何かをやり切った時に、自分を尊敬できるはずだ」と。
エーリッヒ・フロムが「愛するということ」の中で、愛することは技術なんだと言い、次のように言っています。
『愛の能動的性質を示しているのは、与えるという要素だけではない。あらゆる形の愛に共通して、かならずいくつかの基本的な要素が見られるという事実にも、愛の能動的性質があらわれている。その要素とは、【配慮】、【責任】、【尊敬】、【知】である。』
愛の要素が、【配慮】、【責任】、【尊敬】、【知】であるというのは、実に素晴らしい表現ではありませんか。
配慮・・・花が好きだと言っていても、水やりを忘れていては愛することにならない。
責任・・・自発的な行為であり、他人の要求に応じる用意があるということである。
尊敬・・・人間のありのままの姿をみて、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと。
他人がその人らしく成長発展していくように気づかうことである。
知・・・人を尊敬するには、その人のことを知らなければならない。その人に関する知識によって
導かれなければ、配慮も責任も当てずっぽうに終わってしまう。自分自身に対する関心を
超越して、相手の立場に立ってその人を見ることができた時にはじめて、その人を知ることができる。
この話の中においても「尊敬」という言葉が中心的存在になっていると、私は感じました。
尊敬するとは
・人間のありのままの姿を見る
・その人が唯一無二の存在であることを知る
・他人がその人らしく成長発展していくように気づかう
という3つのことを言い、
そしてそのためには
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。