貧乏ゆすりもこれからは褒められる!? 振動で発電

2010.09.10

経営・マネジメント

貧乏ゆすりもこれからは褒められる!? 振動で発電

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

昔は貧乏ゆすりをすると怒られた。でも、これからは怒られるどころか褒められるかもしれない。 それは、その振動で発電しているからだ。 これからはそんな世の中になるかもしれない事例を紹介する。

NTTデータ、トヨタ、ホンダ、パナソニックなど国内23社が発電電子部品の普及を目指す起業連合を設立した。発電電子部品は、わずな振動や熱をもとに発電をする電子部品だ。用途は、自動車の走行中の振動や熱を利用した車載センサーや操作スイッチ、設備の振動や熱を利用した工場内の監視センサー、ボタンを押した際の上下動を利用したリモコンなど。これらの開発が進めば敬エネルギーだけではなく、製品の軽量化やコスト削減にもつながる。(出所:2010年9月6日 日本経済新聞1面)

振動で発電する技術はすでに幾つか実現している。たとえば、駅の改札口。改札口の床に通過する乗客が踏むと発電する床に「発電床」を設置し、乗客の歩く力を電気エネルギーに転換している。

首都高速道路の橋では、通過する自動車の振動を、電気エネルギーに変換し夜間照明の電源の一部に活用している。昼間通過したときの自動車の振動エネルギーも逃さずバッテリーに逐電した上でだ。

サッカーJリーグ1部のヴィッセル神戸は、本拠地のホームズスタジアム神戸に、サポーターが応援する時に跳びはねて生じる振動で発電する床発電システムを今年の7月に本格導入している。尚、試験導入時の結果によると、神戸が破れた試合は神戸の勝ち試合の約6割程度しか発電されなかったとのこと。これからは、電力コストの観点からもチームは負けられない。

細かいところではスポーツジム。スポーツジムでは利用者がお金を払ってエネルギーを発散している。一人ひとりの発電量が小さいので実用化にはまだ時間がかかりそうだが、エアロバイクなどのエクササイズマシンやフィットネススタジオの床に発電装置を取り付ける試みは幾つか出てきている。発電と蓄電効率が今後の実用化の鍵か。

振動とは少し異なるが、自転車に乗るついでに携帯が充電できるようにするデバイスも販売されている。6月3日付のBBC Newsによると、ノキアは自転車に取り付けると携帯を充電できるようになるキットを、今年の6月に欧州で発売している。同社の発表によると、2010年終わりまでには世界中に展開するとのことだ。類似のキットは他の企業からも発売されている。

こうしてみると、世の中には我われが垂れ流しにしているエネルギーが数多く転がっている。そうしたものを細かく広く蓄えていけば大きなエネルギーになる。しかも、その調達コストは設備への投資、メンテナンスコストを除けば無料だ。何せ、それらは今までそれらの供給者が気づかずに捨ててきたものだからだ。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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